- 2021.11.18
紅茶は水によって味が変わります。
日本だけでも、地域によって軟水と硬水で異なるためです。
そこで今回は「水」について調べてみました。
全国の水を比べることは難しいですが、さまざまな水を知って、紅茶との組み合わせを試してみるのも面白いかもしれませんね。
硬水と軟水の違い
水は、大きく分けて硬水と軟水の2つがあります。
表記からわかる通り「硬い水」と「軟らかい」の違いになるのですが「水が硬いってどういうこと?」と思われる方もいるでしょう。
具体的には「硬度」によって分類されていて、硬度というのは、水1リットル中に解けているミネラルの合計数値です。
ミネラルが高ければ硬水、ミネラルが低ければ軟水になります。
世界保健機構によると、以下のように分けられます。
・軟水……水1リットルあたり60mg未満
・中軟水……水1リットルあたり60~120mg未満
・硬水……水1リットルあたり120~180mg未満
・超硬水……水1リットルあたり180mg以上
とは言っても、どのようなものが硬水か軟水か、わからない方もいるかと思いますので、硬水と軟水の特徴を解説します。
硬水の特徴
硬水はミネラルが豊富な水です。
舌触りは少しザラっとしていて、感覚的に「硬い」と感じ、苦さがあります。
また、硬水はせっけんを使っても泡立ちにくいという現象が起こるそうです。
比較的、日本人には合わない硬度と言われています。
軟水の特徴
軟水は、ミネラルが少ない水ですが、口当たりが軽く飲みやすいです。
感覚的に「サラっと飲めて軟らかい」のが軟水の特徴。
日本の水は、ほとんど軟水と言われているので、日本人に合った水と言えます。
日本の地域によって硬水・軟水は異なる
日本は全体的に軟水ですが、地域によって異なります。
つまり、水道水を使用して紅茶を淹れた場合、地域によって多少、味の差が異なる可能性があるのです。
日本の平均的な水の硬度は、50mg~75mgほどなので、ほとんどが軟水。
しかし、関東の埼玉や千葉の一部の市、沖縄は硬度が100mg以上となっています(※参考:全国水質マップ)。
硬水ではなく、中軟水になりますが、普段軟水を使用している日本人からすると「硬い」と感じるでしょう。
さらに、千葉県の大喜田町の水は、硬度が270mgもあるそうなので「超硬水」に該当します。
普段軟水を使用している方が、急に千葉県の大喜田町に引っ越したら、水の違いを大きく感じるのではないでしょうか。
その他、全国的な硬度を見てみると以下のようになります。
・北海道……50mg未満
・東北……50mg~75mg
・関東……50mg~100mg以上
・東海…………50mg~75mg
・近畿…………50mg~75mg
・四国……50mg未満
・甲信越……50mg~75mg
・北陸……50mg~75mg
・九州……50mg~100mg
・沖縄……100mg以上
日本だけでも大きな違いがありますね。
海外の水と日本の水の違い
日本国内でも硬水と軟水の違いがあるように、国によっても異なります。
実際に、英国で「いい香り」と思ってお土産にした方が、日本に来て同じ紅茶を飲んで「香りがキツすぎる!」と感じたという話もあります。
調べてみたところ、欧州のほとんどは硬水なのだそうです。
参考として、いくつかの国の硬度を見てみると、以下のようになります。
・イギリス(ロンドン)……硬度220mg(硬水)
・オランダ……硬度142mg(硬水)
・フランス……硬度280mg(超硬水)
・アメリカ……硬度30~120mg(軟水・中軟水)
・北京……硬度360mg(超硬水)
このように、国によっても硬水と軟水は大きく異なるので、紅茶の味も国で変わるかもしれません。
日本の水はおいしい
硬水と軟水の違いもありますが、日本は水質基準がとても良い国です。
そのため、日本で飲む紅茶がおいしく感じられるのかもしれませんね。
日本の水質基準は、以下のように設定されています。
・大腸菌……検出されないこと
・水銀……1リットルあたり0.0005mg以下
・ヒ素……1リットルあたり0.01mg以下
日本に比べて、他国は以下のような基準です。
・WHO……大腸菌100ml中に検出されてはいけない/水銀0.006mg以下/ヒ素0.01mg以下
・アメリカ……大腸菌5%以下/水銀0.002mg以下/ヒ素0.01mg以下
・EU……大腸菌100ml中に0個/水銀0.001mg以下/ヒ素0.01mg以下
それぞれを比べてみると、日本の水質基準が高いとわかります。
よく「日本人は海外の水を飲まない方が良い」と言われるのは、水質基準に理由があります。
軟水で安全なお水を飲んできた日本人には、海外のお水が合わず、体調不良になる原因になってしまうのです。
健康面を考えても、紅茶は日本のお水で飲んだ方が良いかもしれませんね。
紅茶は軟水・硬水どっち?
紅茶にとって軟水か硬水どちらか……というのは、好みによって異なります。
一般的には、硬水はお水の個性が強く出て、軟水は素材の味が強く出ると言われています。
紅茶本来の味を楽しむのであれば、素材の味を強く出せる軟水が良いでしょう。
軟水は、雑味が少ないため、紅茶以外にも和食にも適していると言われており、コーヒーや紅茶も香りが引き立つと言われています。
反対に硬水は、お水の味が強いため、香りや渋味が出にくい傾向があるそうですが、これは紅茶の個性を消してしまうとも言えるので、紅茶本来の味を楽しめるかどうかという点では不向きです。
基本的には、日本人に合っている軟水を使った方が、おいしくいただけるのではないでしょうか。
紅茶本来の味を引き出すために
水には、おいしさや硬度の違いがあります。
そのため、どこのどんな水を使うかによって、紅茶の味は変わるでしょう。
海外の水を試すのは難しいですが、ちょっと旅行に行った際には、日本各地のお水で紅茶を淹れてみてください。
地域によって味の違いが出るかもしれません。
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